新型コロナウイルス

【論文紹介】がん患者はSARS-COV-2に対してより脆弱か :中国での多施設共同研究

論文紹介昨日の記事で各団体が出している新型コロナウイルスに関する情報をまとめました。

その中で日本臨床腫瘍学会のQ&Aで引用されていた文献をご紹介いたします。

「9)がん患者にとって新型コロナウイルス感染症のリスクは何ですか?」このQです。

英語文献のリンクも貼っておきますので、英語が得意な方はそちらをご参照くださいね。

 

 

引用元

Patients With Cancer Appear More Vulnerable to SARS-COV-2: A Multi-Center Study During the COVID-19 Outbreak
Cancer Discov 2020年4月28日オンライン版
全文フリーで閲覧可能です!

https://cancerdiscovery.aacrjournals.org/content/candisc/early/2020/04/24/2159-8290.CD-20-0422.full.pdf

 

論文の概要

タイトル: がん患者はSARS-COV-2に対してより脆弱か :中国での多施設共同研究

新型コロナウイルス(COVID-19)が確認されたがん患者105例と、年齢が一致する非がん患者536例を比較した中国における多施設共同研究。

がん患者でのCOVID-19重篤例は血液がん、肺がん、また転移性(ステージ4期)のがん患者で多かった。
非転移性のがん患者におけるCOVID-19重篤イベントの発生頻度は、非がん患者の同頻度と同様だった。
手術を受けた患者では、COVID-19重篤イベントの発生リスクが高かった。

一方で、放射線療法のみを受けていたがん患者では、非がん患者と比較して、COVID-19重篤イベントの発生リスクに差は認められなかった。

著者らは、これらの調査結果が、がん患者は新型コロナウイルス(SARS-COV-2)アウトブレイクに対してより脆弱であることを示唆している、としている。

ABSTRACT 

The novel COVID-19 outbreak has affected more than 200 countries and territories as of March 2020. Given that patients with cancer are generally more vulnerable to infections, systematic analysis of diverse cohorts of patients with cancer affected by COVID-19 are needed. We performed a multicenter study including 105 cancer patients and 536 age-matched non-cancer patients confirmed with COVID-19. Our results showed COVID-19 patients with cancer had higher risks in all severe outcomes. Patients with hematological cancer, lung cancer, or with metastatic cancer (stage IV) had the highest frequency of severe events. Non-metastatic cancer patients experienced similar frequencies of severe conditions to those observed in patients without cancer. Patients who received surgery had higher risks of having severe events, while patients with only radiotherapy did not demonstrate significant differences in severe events when compared to patients without cancer. These findings indicate that cancer patients appear more vulnerable to SARS-COV-2 outbreak.

 

 

この文献を読んでの感想とまとめ

Abstractにもあるように一般的に化学療法(抗がん剤)中の患者さんは感染症に注意しなければならない状態になることがあります。

世界で新型コロナウイルスが爆発的に広がる昨今、この文献はその影響がどの程度あるかを示唆する重要な報告になります。

一方で注意しなければならないのは、症例数が105例という少ない患者さんでの結果であり、「確定的」とは言えない段階です。

つまり、今後新しい情報がアップデートされて主張は変わるかもしれなく、今は参考程度としてみる必要があります。とは言え、繰り返しになりますが、全くわからなかったことがわかってきたので臨床上大変重要な示唆となります。

筆者らはこの文献の限界(読み取る際の注意点)を以下のように記載しています。

COVID-19癌患者さんのコホートは最初のコロナ爆発の震源地であること。(私の補足:おそらく世界レベルで見ると同じ医療崩壊レベルではないので注意ということか?と想像します)

臨床治療の緊急性のため、この研究で使用される医療データは、主にCOVID-19ケアを提供する医療センターとは別の医療提供者と共に保存されている患者の過去の電子医療記録から切り離されていた。(私の補足:詳細は省きますが、データ精度が完璧ではないとお考えください)

 

がんを罹患していないCOVID-19患者と、がんを罹患しているCOVID-19患者のリスク比較

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青いグラフが「がんを罹患していないCOVID-19患者さん」

オレンジのグラフが「がんを罹患している COVID-19患者さん」を表しています。

ここから、がん患者さんは死亡リスク、 ICU治療になるリスク、重篤な症状が出るリスク、人工呼吸器を使用するリスクが高いことが読み取れます。

がん種別各リスクの比較

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がん種別にリスクが異なることが報告されました。

青が非がん患者、オレンジが乳癌、緑が消化器癌、赤が肺癌、紫が血液腫瘍です。

リスクは高い順に、血液腫瘍、次いで肺癌、消化器癌、乳癌という傾向が見て取れます。

 

肺転移の有無によるリスク比較

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青が「非がん患者」、オレンジが「肺癌ではなく肺転移無し」、緑が「肺癌ではないが、肺転移あり」、赤が「肺癌患者」

先ほどのグラフCでは、肺癌が血液腫瘍に次いで2番目にハイリスクであることが報告されましたが、

興味深いことに肺癌でなくとも、肺に転移がある患者さんは肺癌と同じくらいのリスクがあることが読み取れます。

 

 

最後に

不安なことがたくさんあるかと思います。

気になることはまずは主治医に相談しましょう。

そしてStay home。

情報は様々ありますが、確かな情報源に頼ることが大切です。

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