がん一般 新型コロナウイルス

3学会合同作成 5/12更新: がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A 

こんにちは。

以前、紹介した臨床腫瘍学会&癌治療学会が発出したQ&AがUpdateされました。

今回は、日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、癌治療学会の3学会が共同で出しています。

この記事では、記事の更新ポイントを紹介したいと思います。

 

引用先

日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)
がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A

https://www.jsmo.or.jp/general/coronavirus-information/qa_3gakkai.html

 

臨床腫瘍学会、癌治療学会が出した4月20日時点のQ&A

大項目として以下の4項目でした。

  • 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)について
  • 新型コロナウイルス(COVID-19)感染に対する備え
  • 電話診療(またはオンライン診療)について教えてください
  • がんの治療をどのように受ければ良いですか

こちらのの記事はここをクリック

シンプルな一方で、一つの項目の中に16もの小項目があってわかりにくいところもありましたが

章立てがわかりやすく整理されました。

 

日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)
がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向けQ&A

今回の章立ては以下のようになっています。

  1. 疫学的なこと(がん患者さんのリスクなど)
  2. 免疫とウイルス感染との関わり
  3. 主治医に相談すること
  4. 検査 について
  5. 治療に関して
  6. 治療後の経過観察や通院
  7. 生活上のアドバイスなど
  8. がんの種別の治療について:とくに手術など外科治療を中心に

詳細は中を見ていただければと思いますが、

ご注目いただきたいのは、治療法ごとのリスクとベネフィットをまとめていところです。

 

●手術など外科的治療について

外科治療全般について

新型コロナウイルスに感染している患者さんについては、よほどの緊急でなければ、治療により感染が悪化して致死的になる危険性があるので治療を延期した方がよいと考えられます。感染のない人でも、市中感染の頻度が高い地域では治療中に感染を起こす危険性があるので延期できるものはした方がよいでしょう。一般的に進行がんの治療は緊急性が高い場合が多いですが、早期がんの場合は治療を延期しても大丈夫な場合が多いと考えられます。そのため早期がんの場合には、術後の新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクを考えると延期した方が良いと考えらえる場合が多いとされています。また、一部の手術など医療従事者への感染の危険性の高い治療は万が一あなたが感染していた場合、院内感染を広げる恐れがあるので、検査を精密に行ったり、手術に代わる代替治療や手術の延期等が考えられることもあります。

1)手術後に新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいのでしょうか?

がんの手術後1か月以内に新型コロナウイルス感染症にかかった患者さんは重症化しやすいという報告があります。特に術後間もない患者さんは外出自粛や手洗いなどの感染対策の徹底をお願いいたします。

2)がんの手術を受ける予定でしたが、延期した方がよいでしょうか?

自己判断で手術を中止したり、延期したりすることはしないで、手術予定の病院の受け付けに電話をし、主治医または看護師等へ連絡、相談をしましょう。手術の延期の影響はがんの種類や病期(がんの進行度)によって異なります。がんの種類や病期によっては手術以外の治療をまず行うことも考えられます。また、地域によって新型コロナウイルスの感染の広がり方も異なりますので、受診されている病院の感染対応や対策の状況なども含めて、様々なことを考える必要があります。今の時期に手術をした方がよいのか、延期すべきか、何らかの手術以外の治療を行うのか、主治医の先生から十分お話しを聞いて、よく相談をしてください。

3)定期的な検査や診察の予定が入っています。延期してもよいのでしょうか?

がんの治療後の定期的な検査や診察は、自己判断で中止したり、延期したりすることはしないで、かかりつけの病院の受け付けに電話をし、主治医または看護師等へ連絡をしましょう。

 

●放射線治療について

1)現在、放射線治療を受けています。新型コロナウイルスに関して注意することはありますか?

放射線の局所照射で、感染に対する抵抗力(免疫力)が大きく低下するという科学的根拠はありません。放射線治療を受けた患者さんが新型コロナウイルス肺炎を起こすと重症化しやすいとの報告もありません。ただし、抗がん剤を併用した化学放射線療法では、免疫力が低下する可能性があります。また照射法や線量にもよりますが、胸部への照射では数か月後に放射線肺臓炎を来すことがあり、これに新型コロナウイルス肺炎が重なると重症化のリスクが高くなる可能性は否定できません。放射線治療が他のがん治療に比べて危険性が高いとは考えにくいですが、がん患者さんは健康人より新型コロナウイルス感染の重症化リスクが高いことがわかっていますので感染予防を徹底する必要はあります。

2)新型コロナウイルス流行地域での放射線治療を中断、延期すべきでしょうか?

ごく早期のがんやホルモン療法などの待機治療が可能な前立腺がん、リスクの低い乳がんなどで、放射線治療の延期が可能な場合もありますが、がんの治療開始を遅らせることによる影響の有無とその程度について、主治医と十分に相談する必要があります。あなたの病状や治療の内容、あなたのお住まいの地域の新型コロナウイルスの感染状況などによって異なりますが、放射線療法の延期は好ましくないことが多いと思われます。放射線治療をうけることが心配でしたら、主治医に十分に相談してください。放射線治療の中断も治療効果を低下させるので、できるだけ避ける必要があります。特別な理由が無い場合には可能な限り継続してください。

 

●薬物治療について

Ⅰ.細胞傷害性抗がん薬

1)現在化学療法を行なっていますが、このまま継続しても良いでしょうか?

あなたの病状と現在の治療内容によって変わりますので、主治医とご相談ください。治療を定期的に行なっている場合には、発熱などが起きた場合の対応を主治医と事前に相談しておくことが良いでしょう。

2)化学療法中に発熱したらどうしたらよいですか?

主治医に確認して受診が必要か相談してください。
息切れも伴う場合には診察する場所の準備が必要になる場合があるので、事前に連絡していただいた方が良いと思います。

 

Ⅱ.分子標的薬

1)分子標的治療を受けていますが、新型コロナウイルス流行時に治療を続けても大丈夫でしょうか?

がんの種類や分子標的治療薬の種類によっても異なりますが、多くの分子標的治療薬は治療を継続しても新型コロナウイルスの感染リスクは上昇しないと予想されます。特にがんの増殖に不可欠な分子をターゲットにした分子標的治療薬(EGFR遺伝子変異を持つ肺がんに対するEGFR阻害薬、BRAF遺伝子変異を持つ肺がん・悪性黒色腫に対するBRAF阻害薬+MEK阻害薬併用療法など)の場合、治療によるメリットが大きいと考えられるため治療の継続をおすすめします。 一方で、新型コロナウイルス流行時に行う分子標的治療のデメリットとして、下記の点が挙げられます。

  • 分子標的治療薬の副作用である肺炎(薬剤性肺炎)が起こった場合、新型コロナウイルス肺炎と区別がつきにくく肺炎に対する治療が遅れる可能性がある
  • 一部の分子標的治療薬(mTOR阻害薬、CDK阻害薬や細胞傷害性抗がん薬と併用する血管新生阻害薬など)では、副作用による白血球減少のため新型コロナウイルス感染症の発症リスクが高まる可能性がある

また、通院により新型コロナウイルスにかかるリスクを減らすために、通院回数を減らすことが可能かどうかについても考慮されます。治療のメリットとデメリット、通院間隔については主治医とよく御相談ください。

注 2020年4月26日現在、これらの薬剤で新型コロナウイルスにかかりやすくなるというデータは報告されていません。

 

●免疫療法

1)免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けていますが、新型コロナウイルス流行時に治療を続けて大丈夫でしょうか?

免疫チェックポイント阻害薬により新型コロナウイルスの感染リスクが高まるというデータはありません。このため、現時点(2020年.4月26日現在)で積極的に免疫チェックポイント阻害薬を中止する根拠はないと考えられます。
一方で、新型コロナウイルス流行時に行う免疫チェックポイント阻害薬治療のデメリットとして下記の可能性が考えられます。

  • 免疫チェックポイント阻害薬の副作用である薬剤性肺炎が起こった場合、新型コロナウイルスによる肺炎と区別がつきにくく肺炎に対する治療が遅れる可能性がある
  • 理論上、免疫チェックポイント阻害薬投与中に新型コロナウイルスに感染すると重症化リスクが高まる可能性が否定できない

このため実際に免疫チェックポイント阻害薬継続の可否にあたっては、治療のメリットとデメリットについて主治医とよく御相談ください。また、通院によって新型コロナウイルスにかかるリスクを減らすため投与間隔を普段よりも長くする、あるいは一時的に休薬し通院回数を減らすことができるかどうかについても併せて御相談ください

注 2020年4月26日現在、実際に免疫チェックポイント阻害薬により重症化リスクが高まるというデータは報告されていません。

 

●ホルモン治療

Ⅰ.前立腺がん

1)新型コロナウイルスの感染が拡大している状況下で、前立腺がんに対するホルモン療法は行うべきでしょうか?

転移のある前立腺がんに対する薬物治療は開始するべきであり、その際は抗がん剤よりホルモン療法を優先させるべきです。抗がん剤の場合、白血球が下がるなどの副作用が起きて入院治療が必要になることがあるからです。ホルモン療法の注射をする場合、1か月製剤より作用期間の長い3か月あるいは6か月製剤を用いるべきです。ステロイドホルモンを治療の一部として用いる際は、感染症のリスクが上がることを考慮して、その使用を最小限にするべきです。

 

Ⅱ.乳がん

1)抗ホルモン薬を内服していますが、飲み続ける必要はありますか?

通院あるいは電話等での診療を通して処方箋を発行し内服を続けていただくことができますが、ご高齢であったり、すでに5年以上内服されている方は、主治医との相談によって内服を中止することができます。

2)術前の治療として抗ホルモン薬を内服中です。予定されている手術が近づいていますが、その時期に手術を受けなければだめですか?

薬が効いて腫瘍が縮小したり消失しているようでしたら、治療期間を半年から1年程度行った上で手術を行うことも考慮されます。主治医に画像診断できちんと評価していただいた上で相談してください。

3)再発乳がんのため抗ホルモン薬の治療中ですが、分子標的治療を追加する場合があると主治医から言われています。白血球減少や間質性肺炎などの副作用があるようですが、追加しなければだめですか?

今の治療が効果的でしたらこのまま治療を継続し、CDK4/6阻害薬やmTOR阻害薬などの追加を見合わせることも考慮されますので、主治医と相談してください。

 

Ⅲ.婦人科がん

1)子宮内膜異型増殖症・早期子宮体がん等に対してホルモン治療を受けている場合はどのようにしたら良いでしょうか?

主治医と相談して、基本的にはそのまま治療を続けてください。

2)子宮内膜異型増殖症・早期子宮体がん等に対する手術を延期する場合に、ホルモン治療を受けても良いでしょうか?

異型内膜増殖症・早期子宮体がんで手術を一定期間、延期せざるを得ない場合、待機している間にホルモン治療を受けるほうが進行を遅らせられる可能性がありますので、おこなうかどうかは主治医とご相談ください。

 

●補助的な治療について

1)定期的に輸血を行なっています。このまま継続してもよいでしょうか?

元々のご病気によりますので主治医に一度ご相談ください。

2)定期的に骨折予防の薬を投与しています。このまま継続してもよいでしょうか?

薬の種類次第では飲み薬に切り替えることも可能です。主治医にご相談ください。

4月のQ&Aに関する記事はこちら

http://: https://cancerlife.net/jsmo-qa

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